オステオパシーにとって、原腸形成の理解は重要であると考えています。
なぜなら、ここで原始線条という中心線が形成され、その先端は原始結節(ヘンゼン結節)と呼ばれます。この部位から頭方へ向かって脊索突起が伸び、それが脊索となります。脊索は体軸の中心として、脊柱などを誘導します。椎間板の髄核は、この脊索の遺物です。
また、原始線条から、外胚葉と中胚葉の間に胚内中胚葉が発生し三層性胚盤が形成されます。私たちの体の全ての組織はこの3つの胚葉から形成されることを考えれば、オステオパシーが、分節を理解し、治療に応用してきた意味が少しわかるような気がします。
以下は、原腸形成時のわかりやすいYouTubeからのCGビデオです。粗訳ですが、日本語を下記に記しますので、ご参照ください。
発達第2週の終わりに、胚盤葉上層(epiblast)と胚盤葉下層 (hypoblast)の二層性胚盤が形成される。
そして、第3週目を通して、この2層は、3つの1次胚葉に分化する。この課程は原腸形成(Gastrulation)と呼ばれている。
着床後、およそ15日目、胚盤葉上層の尾側側中心線が厚くなってくる。これを、原始線条(Primitive streak)と呼ぶ。この段階で、原始線条の形成は、頭の方に向かう頭側端と尾の方に向かう尾側端を含む胚子の体軸を明確にする。また同様に胚子の左右も決定される。
胚盤の頭方端では、原始線条が伸び、原始結節(ヘンゼン結節)(primitive node)を形成する。原始結節には円状の陥没があり、これは原始窩(primitive pit)と呼ばれている。この陥没は原始線条の尾側端に向かって胚盤葉上層の中心線(midline)に沿って続き、原始溝(primitive groove)を形成する。
この原始溝が形成されると、胚盤葉上層の細胞が原始線条に向かって内側に遊走し、胚盤葉上層より分離し、胚子の内部に入り込む。これを陥入と呼ぶ。
最初の細胞は、原始溝を通り、胚盤葉下層に侵入し、細胞が入れ替わる。そして、この胚盤葉下層の細胞は、完全に新しい近位の細胞層に入れ替わる。これは胚体内胚葉(definitive endoderm)と呼ばれる。
16日目までには、胚盤葉下層のほとんどが入れ替わる。そして残りの胚盤葉上層は外胚葉と呼ばれ、最も外側、遠位層を形成する。
一部の陥入した胚盤葉上層細胞は、外胚葉の間に残り、新しい胚体内胚葉を形成する。これらの細胞は中胚葉と呼ばれる胚葉を形成する。
胚体内胚葉と中胚葉の形成が完了すると、胚盤葉上層は原始線条に向かって遊離しなくなる。
原腸形成を通して、外胚葉は胚子の頭側から尾側端に向かって形成を続け、胚盤全体を通して3つのはっきりした一次胚葉を形成する。
遂に原腸形成は完成する。
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